医療法人移行手続

私としたことが12日もブログを更新できませんでした。これはこのブログを始めて以来のことで読者の皆様にはご心配おかけした事お詫びいたします。久々に確定申告で夜遅くまで仕事をし、朝も早く起きて仕事していました。でも、毎月7カテゴリーに1つずつブログにするというのは、守りますので何とぞ見捨てないで下さい(笑)

さて、医療法改正の動きがあることはご承知のことと思いますが、持分ありから持分なしへの移行は、厚生労働省が認定して移行を行う(認定医療法人制度)が昨年の10月より始まったところですが、その認定を都道府県知事が認定する仕組みを導入しそうです。

持分なし医療法人は相続税の心配がなくなりますが、移行時には場合によってはみなし贈与という税金がかかります。その事をあまり知らない医療法人や都道府県が何も分からないまま移行してしまったらと思うとちょっと怖いですね。この移行に関する支援策として、移行を支援するコンサルタントに係る経費の補助も検討されています。これはチャンスなのか?いずれにしても、この件に関しては今後何かしらのトラブルが起こりそうです。

移行を考えている医療法人は移行する前に必ず顧問税理士などに移行時課税がおきないか確認する必要があります。

診療報酬改定と消費税増税の影響

平成26年4月に診療報酬改定と消費税増税が同時に発生しました。医療法人は収入は非課税ですが、仕入は人件費以外ほとんど消費税を支払っています。ですから、診療報酬に加味されなかった場合、経営は困難になるというブログを以前書きました。独立行政法人福祉医療機構が平成26年4月から9月までの半年間の調査結果を公開しました。

収入については、全体の46,3%が「若干の収入減」もしくは「大幅な収入減」と回答しています。収入減の理由は、「診療報酬改定」と答えたのが14,8%で、大半の74,2%が「患者数の減少」と答えています。

支出については、全体の75,2%が「大幅な支出増」もしくは「若干の費用増」と回答しています。支出減の理由は、「診療報酬改定に伴う支出」と答えたのは、3,6%に留まり、大半の60,9%が「消費税増税による影響」と答えています。

上記の結果、利益減は全体の53,2%となりました。また、平成26年10月以降の利益についても半分が減少を見込んでいます。

消費税増税や診療報酬改定で実際に講じた対策としては、医薬品や診療材料費の削減が最も多く、次いで収入増に対する対策、委託費削減、人件費削減が挙げられていました。

消費税が10%になる際は今よりもっと経営は厳しくなりそうです。早めに対策を考える必要がありますね。

医療施設調査

厚生労働省が発表した「医療施設調査」によりますと、2年連続一般診療所は10万件超えとなり、一番多い都道府県は東京都の12,758件(H25年10月時点)で2位は大阪府の8,293件、3位は神奈川県の6,545件です。逆に一番少ない都道府県は鳥取県の517件、2位は高知県の573件、3位は福井県の591件です。

人口10万人当たりの一般診療所の件数は、全国平均で79.0件となっていますが、最も多い(つまり過密している)都道府県は、和歌山県の110.2件で、2位は島根県の103.6件、3位は長崎県の102.0件です。100件超えはこの3件だけでした。逆に最も少ない(つまり診療所が足りない)都道府県は、埼玉県の57.4件、次は茨城県の58.9件、次点は沖縄県の59.9件です。

東京は95.9件なのでやや飽和状態です。これから関東で開業を目指す方は東京都で開業するより埼玉県で開業した方がよさそうです。私の顧問先も埼玉県にも東京都にもありますが、埼玉県の顧問先の方が利益が出ているような気がします。ご参考までに・・・

診療報酬の時効

診療報酬の時効をご存じですか?「3年」です。
弁護士の報酬の時効は2年、飲み屋のツケは1年、その他の債権は10年(税理士報酬や公認会計士報酬なども)ですが、これを来年改正する動きがあります。実現すれば120年ぶりの大改正です。原則10年の時効が5年に統一されそうです。診療報酬の時効は今まで通り3年です。

医療法人は脳外科や産婦人科を中心に医療未収金が溜まりやすい診療科目があります。診療報酬の時効は一般債権よりさらに短いので必ず管理するとともに請求することを忘れないよう注意することが大事です。しばらく請求していなくて久々に請求したら、当人は亡くなっていたりして取りっぱぐれとなるケースも多いので医療未収金の管理は重要です。

医療系税制改正要望

平成27年度の税制改正で厚生労働省と日本医師会から提出された要望について、お話ししたいと思います。

厚生労働省
①医療器械(高額医療機器や医療安全機器)を購入した場合の特別償却制度の延長
②非営利ホールディングカンパニー型医療法人制度(地域連携型医療法人制度)の創設等に税制措置の検討
③消費税率引上げに伴う医療に係る消費税課税のあり方(医療法人損税問題)の検討
④社会医療法人認定制度の見直しおよび非課税措置の継続
⑤社会保険診療報酬の事業税非課税の存続
⑥医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続
⑦サービス付高齢者住宅の供給促進税制の延長

日本医師会
①社会保診療報酬制度等に対する消費税の非課税制度、医療保険制度における補填の仕組み
②社会保険診療報酬等に対する事業税非課税および事業税の特別法人としての軽減税率の存続
③医療承継時の相続税・贈与税制度の改善
④医療機関が取得した耐震構造建物、防災構造施設等に係る特例措置創設
⑤医療法人の法人税率引下げ、特定医療法人の法人税非課税化の実施

共通しているとことは、消費税損税問題の解決、社会保険診療の事業税非課税・軽減税率の存続、減価償却資産の優遇といったところです。どこまで認められるか注目ですね。

認定医療法人移行手引き

厚生労働省より認定医療法人への移行のための手引書が発表されました。名称は[「持分なし医療法人」への移行に関する手引書]です。

持分なし手引き.pdf
44ページもあるので上記添付しておきます。この手引書に従って処理すれば認定医療法人に移行して最終形として持分なし医療法人に移行することになります。
「移行計画認定申請書(附則様式第1)」「移行計画(附則様式第2)」「出資者名簿(附則様式第3)」「事務担当者連絡先(別紙1)」「移行計画変更認定申請書(附則様式第4)」「実施状況報告書(附則様式第5)」「出資持分の状況報告書(附則様式第6)」「定款例」「出資持分の放棄申出書(附則様式第7)」などの様式および記載例も載っています。そんなに難しい感じではありません。41ページに質疑応答集が載っていますが、ここは熟読しておくことをお勧めします。ただ、Q4,Q5については、何となく同族1/3要件を満たせば医療法人のみなし贈与が課税されないような誤解を与えるQ&Aだと思います。同族1/3要件を満たしても規模要件を満たさなければ、医療法人に対してみなし贈与税はかかりますので要注意です。

非営利ホールディングカンパニー(統括医療法人)

先日9月10日に昨年末から議論されていた「医療法人の事業展開等に関する検討会」の第6回目が行われました。当初展開については2014.1.7の「株式会社参入のおそれ」に添付されている新聞記事をお読みください。

9月10日の会議でやはり、出資に応じて議決権を付すというのは、株式会社と同様になり医療法人にはなじまないという観点から否決されました。いままで通り1人1票の議決権です。ただ、いままでは社員は自然人でしたが、今後は非営利ホールディングカンパニーの傘下にある、医療法人や社会福祉法人などの法人に社員格を与え1票の議決権にするようです。

また、今までは医療法人は金銭の貸付業務を行ってはならなかったのですが、資金の貸付を認め、非営利ホールでキングカンパニー間での資金貸し付けについては、医療法人が行ってよい付帯業務として認めていくようです。

また、医療法人間の合併というスキームは以前からありましたが、分割というものはなかったのが、今後は分割も認めていくようです。 その点の具体的スキームは10月上旬、11月上旬に行われる第7回・第8回の検討会で詰めていくようです。

第5次医療法改正は大改正でしたが、第6次医療法改正も大改正になりそうです。

医療法人制度セミナー



8月5日と19日にMBA intensive2014という講座のセミナー講師をさせていただきました。5日は「医療法人制度と医療法の沿革」というテーマで2時間、19日は「医療業界における株式会社参入の是非」というテーマで2時間、5日の内容は医療法人と株式会社の違いなどを考慮した医療法人制度、医療法の沿革、医療法人の経営承継などのお話しをしました。19日は医療法人の消費税損税問題、医療業界における株式会社参入の是非などをディスカッションを含めお話ししました。

私は医療法にどっぷりと浸かって医療法人にもどっぷり使っているので制度を知りすぎて、なかなかそれ(例えば制度の規制や実務への落とし込みを考えると思考が制限されるということ)を超えた発想ができないのですが、多くのアグレッシブな意見や考えが聞けて楽しめました。例えば、消費税10%時に医療についての消費税はどうあるべきか。というディスカッションでは、幼児医療は非課税のままで老人医療などは10%消費税をかけてもいいのではないか。とか、3割窓口負担だけに消費税をかけるとか、へき地医療がなくならないように地域の医療には優遇を与えるとか、消費税ではなく法人税などで医療法人の損税を解決するとか、そもそも損なのか、など面白い意見が聞けました。

どうしても実務家は実務に落とし込むとこれは大変な事になるぞという制限が無意識のうちに働き思考に知らないうちに制限がかけられてしまうのだと思いました。私にとっても有意義なセミナーでした。

認定医療法人へのプロセス

2014.3.31の医療法人カテゴリーのブログは「厚生労働省から発表されました。」です。そして2014.4.1の医療法人のカテゴリーのブログは「認定医療法人」でした。

認定医療法人制度は平成26年度の税制改正に盛り込まれた医療法人版事業承継税制です。平成21年度に中小企業の事業承継税制が創設されました。簡単にいうと同族会社である中小企業の株(出資金)に相続税をかけてしまうと事業承継が難しくなるのでそのまま事業を引きついてくれれば80%引きで評価しますよという制度です。その時、医療法人も対象になるのか。と注目されましたが、医療法人は会社法上の法人でないため対象外でした。

平成26年度に医療法人のための事業承継税制が創設されましたが、その内容は中小企業の事業承継税制と全く違う内容になっています。同族のまま事業承継をすると、医療法人が相続人に代り相続税相当額のみなし贈与税を支払うことになるため、一部の医療法人からは、80%引きでいいから、中小企業の事業承継税制に組み入れて欲しかったという意見が出ています。

それは置いておいて、施行日はH26.10.1です。まず、社員総会で持分の定めのない社団への移行を決議しなければいけません。これは財産権の侵害にもあたるため1/2以上とか2/3以上ではなく、全員の同意が必要です。
次に移行計画書の作成をします。移行計画書には、持分の定めのない法人のうち、どの形態の法人に移行するのか。3年以内の移行の期限などを記載します。そして、3年以内に移行を行う旨の定款変更を行います。

次に厚生労働省の認定を受けます。認定を受けた日から3年以内にいずれかの形態の持分の定めのない法人に移行して終了です。

厚生労働省としては、この3年間で現在最も多い持分の定めのある医療法人から持分の定めのない医療法人への移行を促進していますが、税務という現実的なハードルはかなり高いです。さて、どうなることやら・・・
参考:厚生労働省持分なしへの移行.pdf

医療法人推移

医療法人推移.pdf
厚生労働省から平成26年3月31日時点での医療法人推移が発表になりました。
総数は49,889法人となり過去最多です。50,000法人に迫る勢いで、昭和45年からの44年間で約20倍になりました。日本の殆どの産業は成熟期に入り淘汰され法人は減っています。それなのに医療法人は増え続けています。

種類別に見ますと、持分あり社団医療法人は平成19年の医療法改正で新たな設立が認められなくなったため、平成19年の駆け込み設立時の43,638法人をピークに減っていて、現在41,476法人です。それでも全体の83%を占めています。それに比し、新たな設立形態である持分なし社団医療法人は増え続け、平成45年の約100倍の8,022法人になりました。その他に平成19年医療法改正で特別医療法人制度が廃止になり、現在0法人、それに比し、平成19年医療法改正で新たな設立形態である社会医療法人が215法人と増えています。

平成19年を境に法人形態も少しずつ移行していますね。