7つの習慣




7つの習慣は次の7つから構成されています。
第1の習慣 主体性を発揮する
第2の習慣 目的を持って始める
第3の習慣 重要事項を優先する
第4の習慣 Win-Winを考える
第5の習慣 理解してから理解される
第6の習慣 相乗効果を発揮する
第7の習慣 刀を研ぐ

特に印象に残ったのは、第3の習慣の中の時間管理です。これは全ての活動の時間を「緊急性と重要性」のマトリックスで4つの領域に分けて結果がどうなるかというのが書かれています。緊急であり重要な領域を第一領域とし、緊急でないが重要である領域を第二領域とします。緊急であるが重要でない領域を第三領域とし、緊急でなく重要でない領域を第四領域としています。

第一領域は締め切りのある仕事や切羽詰った問題でこれらに多くの時間を費やされると、緊急な問題対応に追われ、ストレスが溜まり、燃え尽き現象が起こります。

第二領域は健康維持や勉強・自己啓発、品質の改善でこれに時間を費やすと、生活のバランスがとれ、健康になり、危機が少なくなり、ビジョンを持つようになります。

第三領域は多くの電話、無意味な接待や付き合い、雑事でこれに多くの時間を費やすと、短期的な視野になったり、八方美人に見られたり、周りに振り回されたりします。

第四領域は暇つぶしや多くのテレビやだらだら電話などで、これに多くの時間を費やすと、無責任な生き方になり、他人や組織に依存しきった状態になります。

「もし、常日頃から行っていれば、あなたの私生活の質、仕事の業績、または結果を著しく向上させる活動がそれぞれひとつずつあるとするなら、それは何だろうか」この本では、こうしたインパクトを持つ活動は全て第二領域の活動であると言っています。

第二領域の活動は重要ではあるが、緊急でないため、後回しにされることが多く、なかなか手がつけられないといっています。ピーター・ドラッカーは「大きな成果を出す人は、問題に集中しているのではなく、機会に集中している」ということで、自分の能力を向上させる第二領域の活動に集中すること、その時間を多く確保することが重要です。第二領域の活動を行うための時間は第三領域と第四領域からしか取れません。第一領域は緊急かつ重要なので無視できないからです。第一領域や第三領域は向こうから私達に働きかけてくるが、第二領域は自ら進んで働きかけなければ作れないので、第四領域を意識して減らし、第三領域に「ノー」という勇気が必要だと言っています。人は元々の能力より、いかに過ごすかが重要であると気付かされた本でした。

ニーチェの言葉


ニーチェはドイツの哲学者(1844~1900)です。
いくつもの名言があるなか特に気になった何点かを紹介します。

多くの人の判断に惑わされない。
仕組みや道理のごくはっきりしたもの、あるいは説明が簡単にできる事柄を、人々は軽く扱う傾向にある。その反対に、説明が尽くされていないもの、曖昧さや不明瞭さが残る事柄を、人々は重要なものだと受取る傾向がある。もちろん本当は、何が重要で何がそうでないかは、こうゆう心理が左右する判断とは別のところにある。だから、人々の気持ちの動きにまどわされて、何が重要であるかをまちがって判断しないようにしよう。「人間的な、あまりに人間的な」

理想や夢を捨てない
理想を捨てるな。自分の魂のなかにいる英雄を捨てるな。誰でも高みを目指している。理想や夢を持っている。それが過去のことだったと、青春の頃だったと、なつかしむようになってはいけない。今でも自分を高くすることをあきらめてはならない。いつのまにか理想や夢を捨ててしまったりすると、理想や夢を口にする他人や若者を潮笑する心根を持つようになってしまう。心がそねみや嫉妬だけに染まり、濁ってしまう。向上する力や克己心もまた、一緒に捨てられてしまう。よく生きるために、自分を侮辱しないためにも、理想や夢を決して捨ててはならない。「ツァラトゥストラはかく語りき」

賢さは顔と体に表れる
賢明に考える習慣を持つと、そのうちに顔が賢そうな輝きに満ちてくる。表情ばかりか、体の見た目も賢そうになってくるのだ。たとえば、他人から見て動作や姿勢のあり方にシャープな感じが出てくる。どのような精神を持つかによって、人間の外観も変わるのだ。元気な人が活発に歩くように、悲しみと失意を秘めた人がとぼとぼと歩くように。「人間的な、あまりに人間的な」

仕事はよいことだ
職業はわたしたちの生活の背骨になる。背骨がなければ、人は生きていけない。仕事にたずさわることは、わたしたちを悪から遠ざける。くだらない妄想を抱くことを忘れさせる。そして、こころよい疲れと報酬まで与えてくれる。「人間的な、あまりに人間的な」

この中で特に好きな名言は、「理想や夢を捨てない」です。常に今日の自分より明日の自分・・・明日の自分より10年後の自分が素敵になっていることをイメージしながら生きていきたいです。

医療戦略の本質


マイケル・E・ポーターとエリザベス・オルムステッド・ティスバーグが著者です。

まえがきで、ちょっと耳が痛いまた、ドキッとする提言をしている。

そもそも医療では、「マネジメント」という言葉の評価は低く、「ビジネス」に至っては禁句に近い。また、医療機関の「戦略」に関する文献は皆無に等しい。つまり、多くの医師たちは「競争」という概念をまるで信用していないのである。彼らは「競争」を「値下げ」と同義と考え、「競争」は身勝手な行動を助長し、診療をないがしろにする厄介者だと教え込まれている。

というものです。第1章では医療の問題点を述べ、第2章では根本的な原因を探っている。第3章は改革はなぜ失敗したのかで、第4章は医療の価値を向上させる原則、第5章は、医療提供者の取るべき戦略、第6章は、保険者の取るべき戦略、第7章は、医療メーカー、消費者、雇用者の取る戦略、第8章は、政府の取るべき戦略、そして、付録として事例が2件掲載されている。

アメリカの制度を中心に書いている部分もあるので、日本との違いを感じる部分もあるが、第4章と第5章は医療法人の関係者に読んでもらいたい部分です。

H・ミンツバーグ経営論


この本では興味深い質問が3つされている。

第一の質問 なぜある人間が非常に有能であると同時に非常に鈍重でありうるのか。例:ある種の知的活動をマスターすることには極めて優れているのに、他の事は無能であるのか。なぜ独創性では他の並ぶことのない人間が、バランスシートさえも理解できないのか。優秀な経営学者が、なぜ組織内政治力に欠けるのか。政治活動に天才的能力を持つ人間が、なぜ経営学の初歩的原理も理解できないのか。

第二の質問 当然知っているはずの明白な事実を読むか聞くかした時、人々が時として非常に驚くのはなぜか。例:あるマネージャーが意思決定に関する新しい論文を読んで大喜びするのはなぜか。その中身はいままで活字にはなっていなかったが、単純明白なことばかりなのに・・・

第三の質問 組織のなかにおいて、少なくとも方針決定のレベルにおいては、経営の理論や計画と、実践との間にどうして大きなギャップがあるのか。例:計画と分析の手法が、トップマネージャーの働きにあまり効果をもたらさないのはなぜか。

第一の質問の答えは、右脳と左脳の働きが別だからです。左利きの人は例外らしいのですが、右利きの人は左脳は理論的思考過程を司り、右脳は同時並行的処理を特徴としている。なので、弁護士・会計士・プランナーの多くは、左脳の思考過程が非常に発達していて、芸術家や彫刻家やおそらく政治家などは右脳の思考過程が発達している。したがって、芸術家は自分の感じていることを言葉で表すことは苦手だし、反対に法律家は絵を描く素質がまったくないということがあるらしい。

第二の質問の答えは、右脳のなかに、人間の意識に関する重要なカギが存在するが、それはイメージであり明確にされていない。右脳だけがずっと前から知っていたことを、左脳が明示的に知ることがあるとそこに感動が生まれるのです。

第三の質問の答えは、経営の理念や計画は左脳で行うことで、実践は右脳で行うことです。ミンツバーグは組織のトップには右脳的資質がより重要であって、左脳(明確さ、論理、分析など)を組み合わせることで優れた経営者になると言っています。従って、先に左脳を使って計画を立てても、右脳が納得していない計画であれば、実現しないということです。

本を読んでみてとても不思議な感覚(魅力的なという意)を覚えました。

戦略バランスト・スコアカード



バランス(ト)スコアカードとは、キャプランとノートンが考案した戦略マネジメント手法で、「財務の視点」「顧客の視点」「内部ビジネス・プロセスの視点」「学習と成長の視点」の4つの異なった視点から価値創造のために用いられる戦略を現場に落とし込んでいくマネジメント手法です。

もともとは財務尺度だけで事業を管理することの限界を克服しようとして提案したもので、4つの視点は次のような内容です。

①財務の視点・・・株主などの利害関係者の視点からみた成長性、収益性、リスクの戦略
②顧客の視点・・・顧客の視点からする価値創造と差別化のための戦略
③内部ビジネス・プロセスの視点・・・顧客と株主の満足を生み出すような各種のビジネス・プロセスのための戦略的優先順位
④学習と成長の視点・・・組織の変革、革新、成長を支援する雰囲気を作り出す優先順位

これらの視点を中心に視覚で分かる戦略マップを作成し、それを業績評価指標で数値により目標を掲げ、戦略を現場に落とし込んでいく。PDCAサイクルを繰り返し、常に改善を加えながら目標を達成していくものです。

今すぐ使える!コーチング


ティーチングは相手に対し、情報そのものが明らかに不足している場合、何かを教えるときに使います。

コーチングは,情報をもっている相手に対し何かを気づかせるため,力を引き出すときに使います。

考えてみれは、私の仕事の多くはティーチングです。顧客が不足している情報について質問をされ、その答えを明らかにするというのが最も多い仕事です。ですから、ティーチングに慣れてしまっています。

しかし、最近コンサルティング業務が多くなり、職場カイゼン会議などに同席することがあって、これは、コーチングの技術が必要だなと痛感しました。踊る大捜査線ではありませんが、現場のことは現場が一番知っているからです。

コーチングは相手を承認することから始まります。相手が答えを知っていることを強く信じてそれを引き出させてあげることです。

まず、相手の話を聴いて、受け入れて、質問します。何かを聞かれるとズバッと答えを言いなくなる私ですが、コンサルティング業務の場合、それは一方的な伝達になり、必ずしもその現場でベストな方法ではないかもしれないのです。現場のことは現場が一番良く知っています。問題点も一番把握しています。それをどう聴きだし、考えさせ、答えを見つけさせるか。

なかなかまどろっこしくて、何かを言いたくなっても堪え、相手を信じ相手が気づくまで質問します。

なかなか難しいスキルですが、時と場合を考え、ティーチングとコーチングは使い分けるべきだと気付かされた本でした。

ザ・クリスタルボール


以前ブログでキャッシュ化速度のことをお話しました。売掛金のサイトを縮め、買掛金のサイトを延ばし、棚卸資産を減らすと財務内容が改善するというお話です。

棚卸資産、つまり在庫を少なくするというのは言葉で言うのは簡単ですが、具体的にどうすればよいのでしょう?在庫を少なくしすぎると品切れを起こしあれば売れたのにという機会損失を招きます。適正在庫とは何なのか?ということが読んでいるうちに分かってくる本です。

何が、いつ、どこで、どれだけ売れるかを正確に教えてくれる水晶玉が「クリスタルボール」です。そんなものがあればいいのに・・・というのが起発点となっています。

まず、物語は店舗の地下にある倉庫が水道管破裂のため、長い期間使えなくなるというハプニングから始まります。それまで、その店舗では4か月分の在庫を地下倉庫で管理していました。倉庫が使えなくなることから20日分の在庫を残し、あとは地域倉庫に引き取ってもらいます。売れた分だけ毎日地域倉庫から品物を補充し、20日分の在庫になるように管理しました。その結果、売上高が20%から30%Upし利益率は3.2%から17.4%にUpしたのです。それで、何故そんなに数値が良くなったのかというのを分析しながら、どんどん改善していきます。売れ筋商品の品切れはその店舗だけではなく、その他の店舗の在庫も地域倉庫へ集めることで改善されていきます。各店舗の販売予測のズレを1箇所に集約することによって、売れ筋とそうでないものが相殺され集約できるからです。そして、売れ方にスピードがあることにも気が付きます。売れ筋の商品は品物の減少のスピードが早いので、他の商品と同じ仕組みで発注しても届くまでに在庫切れを起こす可能性があることを知り、商品ごとに赤、黄、青というスピード別に分けて管理します。それから各地域ごとのクロスシッピングを始めますが、同時に不都合さも覚え、中央倉庫管理を思いつきます。そして、究極はサプライヤーにまで協力してもらい、小ロット化に成功します。これも自社だけに有益な方法ではなく、サプライヤーにも有益になるようサプライヤーにとって現金化が早まり、納期厳守をすればバックマージンを与えるなど、Win-Winの関係を構築できるやり方です。そうしてサプライチェーン改革を起こすというものです。

物語形式になっているので読みやすく、かつ、体系的にロジスティックの基礎からサプライチェーンまで学ぶことができます。

ビジネス・ゲーム



この本は、「誰も教えてくれなかった女性の働き方」という副題がついています。一般的に仕事としての社会は男社会です。多くの女性は学生時代と社会に出てからの女性の立場の違いに驚き、そして戸惑うことでしょう。私も一番最初に就職したのが銀行でしたから、体験してみて初めて社会は男社会なのだ。と思いました。

そんな、男社会で女性が勝ち残っていくルールみたいなものが書かれたのがこの本です。私は早くに男社会に見切りをつけて、男女隔たりの無い国家試験の道に進みましたが、一般の組織で上まで上がっていく女性はある意味、男性以上に努力していることが分かりました。

あぁ。確かにと頷く部分も多い本です。女性、特に若い女性に読んで頂きたい本です。

特に印象に残っている部分は、ビジネスはスポーツに似ているという部分です。その理由は

①ほとんどの場合がチームで行われる。
②チームのメンバーは原則的に志願した者から採用している。
③チームの中で認められるためには必要な技術や能力を持っていなくてはならない。
④能力のあるメンバーは良い条件でトレーニングを受けたりできるが、期待された技量がなければ他の選手と交代させられる。
⑤チームの目標は「勝つこと」に集約される。

本当だ。スポーツと会社組織はとても似ています。チームスポーツの経験を持つ人の方が組織では、経験がある分有利だということです。(男性の方が女性よりその割合が大きい)私は小学生と中学生のときにバスケットボール部に所属していましたので、何となくこの感覚は分かりました。自分が気が付かなかった男社会のルールみたいなものが分かる本です。

ザ・ゴール


製造業でA機械→B機械→C機械という工程を通じて製品が完成されるとします。各機械にはそれぞれaさん、bさん、cさんが張り付いて作業をしています。1時間あたりの生産能力はA機械が80個、B機械が50個、C機械が70個です。この度、社長が従業員に向けて、「最近、作業員の怠け癖が目立ってきて生産量が下がっている。みんな気を引き締めて頑張るように」とはっぱをかけました。従業員aさん、bさん、cさんも気を引き締めなおし、1時間当たりの生産量のMAXである80個、50個、70個を作ることに成功しました。この企業はどうなるでしょう?

みんなが頑張ったおかけで生産量があがり安泰となる。---はずれです---

B機械の直前に在庫の山(ボトルネックといいます)が溜まり、経営が悪化する。このことを分かりやすく教えてくれるのが「ザ・ゴール」です。この場合、1時間あたりMAXで作れるのは一番生産量が少ないB機械です。つまり、B機械のMAXの生産量に合わせA機械を扱うaさんは適当に手を抜かなければならないのです。つまりB機械はフル稼働でそれ以外はB機械に合わせなくてはいけません。B機械は50個しか作れないのにA機械で80個作り続けたらB機械の手前に在庫の山ができて経営は悪化します。

このような制約条件を見つけ経営をすることが大事だということが良く分かる本です。520ページにも及ぶ大作ですが、面白く一気に読むことができます。

経営の質を高める8つの基準


今回は本の内容をマインドマップで記録してみました。

8つの基準とは、1.経営幹部のリーダーシップ 2.経営における社会的責任 3.顧客・市場の理解と対応 4.戦略の策定と展開 5.個人と組織の能力向上 6.価値創造のプロセス 7.情報マネジメント 8.活動結果、です。

それぞれ、大事な観点ですが、この8つの基準を高めることによって企業価値や経営の質が高まるというものです。8つのカテゴリーは独自の視点がありますが、8つは独立して存在するのではなく、それぞれが接点を持って複雑に絡み合っています。

どのカテゴリーでも共通して言えることは、1.目標や理想を持つ→2.実行する→3.問題点を把握する→4.結果を検証する→5.改善する→6.さらに改善した内容で実行する、ということです。いわゆるPDCAサイクルを繰り返し、理想に近づけるということをより具体的に8つの視点から検討しています。