持分なし医療法人移行についてのパブリックコメント

持分なし医療法人の移行について今年の10月1日より移行時のみなし贈与課税がされないということで認定要件が注目されています。前回のカテゴリー医療法人のブログで詳細は8月~9月に発表されるということをお伝えしましたが、平成29年8月17日の厚生労働省のHPに結局パブリックコメントを募集するという発表がありました。
厚生労働省ホームページ

従いまして発表はパブコメを吟味して9月下旬ということになります。私が思うに社員要件・理事要件がポイントだと思っていて、同族1/3以下要件を入れるならこの制度は進まなく、同族1/3以下要件を入れないなら制度として進むのではないでしょうか?今後も注視していきます。以下参考までに・・・
医療法パブリックコメント

社会医療法人と特定医療法人と認定医療法人

今年の10月から認定医療法人制度が変わります。詳しくは2017.2.22のブログ「認定医療法人制度」に記載してあります。ここでも書いてありますが、移行時非課税になる要件があります。その中で社会保険診療報酬が80%以上であること。というのがあります。これについては特定医療法人と社会医療法人でも同じような規定があるのですが、特定医療法人と社会医療法人では社会保険診療報酬に含めて良い範囲というのが違います。

例えば、産婦人科の主な収入であるお産収入(助産収入といいます)は、特定医療法人では含められなくて、社会医療法人では含むことができます。では、認定医療法人制度ではどっちなんだ?ということでモヤモヤしていて、早く詳細が発表されないかと待ち遠しかったのですが、今も詳細が明らかになっていませんので、待ちきれず厚生労働省に問い合わせしました。

詳細が発表されるのは8月~9月になるとの事。思わず聞いてしまいました。そうしましたら、社会医療法人制度の社会保険診療報酬の範囲だということです。つまり、助産収入も含めて良いのです。あぁ良かった。これで産婦人科も認定医療法人を選択することができます。実は昔から思っていました。特定医療法人に産婦人科が手を挙げることができない不合理さに苛立ちを覚えていたのです。

認定医療法人制度は厚生労働省が認定する制度なのでその辺は分かってらっしゃるのですね。特定医療法人は財務省の管轄なのでそこまで目が行き届かないのかもしれません。

新専門医制度

専門医制度は以前からありましたが各学会が独自に制度をつくり運用してきました。問題点としては独自の運用なので質が一定ではない点や多種多様な専門医が乱立して一般の人から見たら分かりにくいという点でした。そこで専門医の質の向上を目指すため新専門医制度ができました。

研修方法については、プログラム制とカリキュラム制があります。プログラム制は3~5年間に定められた研修プログラムで研修を行い、専門医を養成するものです。カリキュラム制はカリキュラムに定められた到達目標を達成した段階で専門医試験の受験資格が与えられるものです。研修年限の定めはありませんがプログラム制の年限を下回らないこととなっています。

専門研修の登録の手順などまだ決まっていないことも多くありますが、現在で決まっている資料を入手しましたので参考にして下さい。
専門医制度

標榜科目を絞り込むことのメリットデメリット

標榜科目はクリニック等がうちの診療所は何科をやっているのかということを明記したものですが、なかにはここのクリニックは何でもやっているなというクリニックもあります。標榜科目を絞り込むというのは、他も多少できるけど、敢えて絞り込むことです。

デメリットとしては、患者の母数が大幅に減少し、集患がし辛くなったり、短期的に患者数が減少したりします。メリットとしては、多様な設備が不要になったりスタッフも専門性をもった人が集められる。その診療科目ばかり見ているので事案が多くなり専門的に対応できます。つまり短期的視点でいくとデメリットも目立ちますが、長期的視点で見るとメリットも多いのではないでしょうか?

当事務所の顧問先で整形外科を持つクリニックがありますが、内科も標榜していました。内科を標榜していたので医師会の半強制輪番診療にも駆り出されることもあったようですが、内科を止めることによって本来の整形外科に集中することができたようです。父の代から標榜科目が多い方が患者が多く来るという言い伝えでそのままにしているクリニックも多いです。定款変更する必要がありますが、一度見直すのも良いかもしれません。

H28医療法人数の推移

平成28年の医療法人数が発表されました。平成27年に5万件を突破した医療法人ですが、とうとうその数は51,958法人となりました。参考資料⇒医療法人数の推移H28

平成19年までオーソドックスな設立形態であった持分の定めのある社団医療法人は平成19年は全体の98%を占めていましたが、平成28年にはとうとう78%にまで減少しました。その代わり平成19年以後医療法改正によりオーソドックスな設立形態になった持分の定めのない社団医療法人は平成19年には1%未満でしたが、平成28年には21%までになりました。約10年で持分あり社団は20%減少し、逆に持分なし社団は20%増えたことになります。

10年ひと昔と言いますが、10年単位で見るとその業界の変化が分かります。前回と前々回の医療法人のカテゴリーのブログにも書きましたが、今後、ますます持分あり社団は不利な税制になります。これらの税制改正で一層持分なし社団への移行が進むのではないでしょうか。

医療法人の相続税評価額改正

医療法人の出資に関して相続税評価額の算定方法が改正になります。医療法人の出資の評価は会社の規模に応じ、小会社・中会社・大会社に分けて、純資産価額と類似業種比準価額を出して算定します。純資産価額とは、簡単に言えばその医療法人の貸借対照表を時価ベースに直して、純資産価額を算定する方法で、類似業種比準価額とは上場会社の株価の平均価額を基準として算定する方法です。大きな医療法人の方が類似業種比準価額の影響を受け、小さい医療法人ほど純資産価額の影響を多く受けます。

改正になるのは、類似業種比準価額の算定の仕方です。類似業種比準価額は上場会社の株価を基準にその医療法人の利益と純資産の数値によって算定するのですが、今までは利益が3倍純資産が1倍の影響でしたが、改正により利益も純資産も1倍となります。これは何を意味するのか?利益というのは、損益計算書の利益です。悪い年もあれば良い年もありますよね。純資産は貸借対照表の純資産(旧資本)です。貸借対照表は長い間の利益が蓄積して成り立ちます。ですから数値を急にあげたり下げたりすることはできません。過去の実績が少しずつ変化していくものだからです。

ですから、たまたま利益が沢山出た年に相続が発生したりすると大変なことになっていました。逆に言えば今年だけ赤字になった時に出資持分の贈与などをすると低い評価で贈与することなどが出来たわけです。利益の影響は純資産の影響の3倍ですから効果覿面でした。それが、利益と純資産は1倍と同程度の影響力になりました。そうしますと、今年だけ赤字になって贈与をしたとしても赤字の影響は改正前ほど受けないということになります。含み益が大きい医療法人にとっては一大事です。今後どうするか顧問税理士等に相談して下さい。

週末、税理士の先生の開業40周年パーティに行ってきました。開業40年って私の開業実績の2倍以上です。まぁ私の親と同世代の先生なのでそうなるでしょうけど・・・私も20数年後こんなにやる気にみなぎった40周年を迎えられるかなぁと、ぼーっと考えた週末でした。

認定医療法人制度改正

認定医療法人制度とは、持分の定めのある医療法人が持分の定めのない医療法人に移行するための制度ですが、法人に含み益がある場合(内部留保がある場合)原則として移行時に医療法人に贈与税がかかっていました。厚生労働省は持分の定めのない医療法人に移行させたかったのですが、このみなし贈与税が足かせとなって移行が思っていたより進まなかったのです。

認定医療法人制度は平成26年10月に始まった制度で平成29年9月までがその期限となっていましたが、この度の税制改正で3年間の延長がされ、平成32年9月までの制度となりました。しかも、移行時の贈与税を非課税とするという太っ腹な制度です。ただ闇雲に非課税とするのではなく、摘要要件を定めました。移行計画の認定要件を満たし、厚生労働省の認定を受けること。移行後6年間、認定要件を満たしていること。です。

認定要件は、⓵社員総会の議決があること。⓶移行計画が有効かつ適正であること⓷移行計画期間が3年以内であること⓸法人関係者に利益供与しないこと⓹役員報酬について不当に高額にならないよう定めていること⓺社会保険診療に係る収入が全体の80%以上などです。⓵~⓷はもともとあった要件ですが、⓸~⓺は新たに追加された要件です。以前の親族1/3要件などがなくなれば、非常にやりやすくなるのではないでしょうか。ただ、産婦人科などは社会保険診療報酬収入が全体の80%以上にはなりませんから、そちらについても救ってほしいものです。具体的な細かい要件についてはこれからです。いずれにしろ、これは衝撃的な改正です。秋ごろに細かい要件がでると思いますので注目ですね。

医療法人の定款変更

今月は会計事務所の繁忙期で忙しいですが、私は行政書士の資格も持っているので現在定款変更業務を2件行っています。1件は埼玉県で理事定員の変更、もう1件は東京都で既存個人クリニックの医療法人への吸収です。

前回のカテゴリー医療法人のブログで、たまたま今回の医療法の改正で定款変更を行わなければいけないか否かのお話をしましたが、結局、埼玉県の方は全部改定ではなく、部分改定で済みました。全部改定より部分改定の方が審査する県としては大変だと思いますが、対応してくれました。

ところが、東京都は現在の定款にも理事会の規定があると言っても全改定でないとダメとの事です。確かにモデル定款が出ているので審査する方は全改定の方が楽かもしれませんが、やる方は大変です。県によってすごい温度差ですね。

医療法改正で定款変更は必要か

医療法が改正され施行日は平成28年9月1日です。この度、私の顧問先の社会医療法人が、この医療法改正に伴い、定款変更をするようにという指導があったので、調べてみました。すると、厚生労働省医政局長から「医療法人の機関について」という通知の22ページに理事会に関する規定がない医療法人は施行日から2年以内に定款変更する必要があると出てきました。ただ、数行下に社会医療法人及び大規模医療法人以外の医療法人は、当分の間、定款変更の必要なしという表記が出てきます。

えっ定款変更しなきゃいけないの?しなくても良いの?と混乱します。社会医療法人と大規模医療法人は変更する必要があります。他の医療法人はどうでしょうか?つまり、理事会の規定があれば、当分の間このままで良いし、理事会の規定がなければ、しなくてはいけないとの事。医療法人は平成19年の医療法改正でほとんどの医療法人がその時のモデル定款通りに定款変更しています。それが今の定款になっているところがほとんどなのです。それを見ると、第21条あたりに、会議は社員総会及び理事会の2つとし・・・という規定があります。これでいいのか?いけないのか?ちなみに新定款のモデル定款の理事会の規定はもっと細かく規定されています。

まず、原則として2年以内に定款変更しなさいということですが、理事会の規定があれば、社会医療法人と大規模医療法人以外の医療法人はやらなくてもよい。理事会の規定とは現定款第21条を流用できるのか?本当に読みづらいですね。そこで埼玉県医療整備課に聞いてみました。結論から言うと第21条は流用できるそうです。ただし、今後、定款変更の事由が生じた時には、理事会の部分の変更の指導もあるらしいです。

参考までに医療法人の機関についての資料を添付します。新定款のモデル定款も載っています。医療法人の機関について.pdf

病院の人材不足にどう対応するか

病院の人材不足は永遠の課題です。病院には人員基準というものがあり、ある程度の人員がいないと診療報酬そのものを下げられてしまうのです。ですから、どの病院も不足人員を確保しようと必死です。人材が集まらない場合はどうするか?ものすごい高い報酬を支払ってエージェント(人材紹介会社)から確保しています。厚生労働省が出している賃金構造基本統計調査によると看護師の年収は450万円~500万円近くにまでなっており、その年収の15%~20%を紹介手数料としてエージェントに支払っています。

先日ある病院から内部の看護師の職員から友人の看護師の就職の紹介を受けた。紹介してくれた職員と、紹介された職員の双方に10万円ずつ手当をあげたいのだけれど、いいか?という相談を受けました。私は給与課税するなら何の問題もないと答えました。(あくまでも私の個人的見解です)エージェントからの紹介なら紹介手数料として1人70万円~100万円くらいの紹介手数料を支払わないといけません。それが20万円程度ですむならその方が経済的にもずっと良いですし、紹介する側もされる側もちょっとしたお小遣い(給与)になり一石二鳥です。

また、紹介した人の友人だけあって、類は友を呼ぶらしくエージェントからの人材より良質な人材が確保できています。いつまでもエージェントのカモになっている場合ではありません。ちゃんとした規定を作り、良い人材を確保しましょう。