最強の働き方




本屋さんで見つけました。ブルーの表紙が爽やかな本です。通常の本は大抵黒一色で書かれています。ところがこの本は、ブルーの文字と黒字にブルーの蛍光ペンでラインをしたような文字が多数あります。おそらく、読みやすく努力したものと思われます。

働き始めた新人のメールの書き方から時間管理などから、上司になったときの部下への対応、そして会社のトップになり自己実現を目指すまで、段階を追って書かれてあります。どの段階の人にも具体的事案に沿って書かれているので、参考になるでしょう。

仕事って、20歳前後から年金をもらう年齢まで(または一生)関わっていくものですね。その長い40年以上もどうやって働き続ければ良いのか。働く事が生き甲斐であれば、それはとても幸せなこと。どうやって効率的にまた効果的に働けるか。

また、仕事は自己実現の道だとも言っています。自己実現の要素は「やりたいこと」×「できること」×「社会に要請されること」の掛け算でこの要素が仕事での自己実現の最終形のようです。全体的に長い人生の働き方の手引書のような本でした。

HARD THINGS




この本は本屋さんでブラブラしていた時に何となく手にして購入した本です。表紙の帯の文章につられて買ってしまいましたが、何しろ読むのに時間がかかってしまいました。特に難しいことが書いてあるわけではないのですが、本の中身が直訳すぎるのか文章に違和感があり読んでいるうちに疲れてしまって途中で読み止める日が何日も続き、読み終えるのに1か月くらいかかってしまいました。

普段本はいっきに読む方なのでいささかダラダラと読みすぎてここに至るまでに忘れたこともあり、ちょっと反省しています。内容としては、1人での起業から始まって一気に大きくするときの注意点のような部分が参考になりました。特に人を雇うとき、人を選択する時、総合的にできる人でトラブルのない無難な人を優先的に雇う傾向にあるけど、そうではなく、欠点はあっても1つに天才的に長けている人を雇った方がよい。とか、確かに人を雇うときはこの組織でやっていけるだろうかとか、顧問先の受けが良いとかで選びがちです。でも、組織を大きくしたいときは、所謂無難な人ではなく、短所があっても良いので長所が天才的に長けている人を雇った方が良いらしいです。目から鱗でした。もそういった人を雇っても逆に優秀な人材が最悪の社員になる場合もあるとかで、結局どうしたら良いの?という感じでした。多分原理原則は色々あるけど、それはどうなるか誰も分からなく結局は経験を通して学んでいくことなのかとも思いました。

あと印象に残ったのは、平時のCEOと戦時のCEOのあり方を書いた部分が印象的です。平時とはある程度ライバルに対し優位性を確保していてその市場が拡大しているような状況をいい、戦時とは会社の存続にかかわる危機が差し迫っている状況をいいます。通常のビジネス書などでCEOのあり方を書いている本は平時のCEOのあり方を書いているものばかりで戦時のCEOのあり方を書いている本はほとんどありません。また、平時と戦時では全く逆なことをしなければならないことが多く存在します。大抵の経営書では部下を公の場で失跡したりするのはタブーとされていますが、戦時の経営では全く逆の経営をする必要があるらしい・・・結構読むのが辛いことも書いてあります。小さな会社を大きくするというのは、急激な変化に対応していくのでいろんな部分にひずみが出るからです。経験した人だから書ける本でした。

下町ロケット2 ガウディ計画




ご存じ下町ロケット2です。これはテレビで放映されていたので内容を知っている人も多いのではないでしょうか。暑い夏に熱い気持ちになりたくて本も読んでみました。テレビと本との中身の違いはテレビでは主人公佃氏の娘が頻繁に出てきましたが、本ではそんな登場人物はいませんでした。でもその他の内容は、テレビとほぼ同様で、再び熱い気持ちになれました。

次々と様々な困難が四方八方から襲い掛かり、それでも逃げずにくらいついていく。取引先との問題や従業員とのトラブルなども抱えながら大きく成長していく姿はまさに尊敬に値します。この本を読むと私は組織の代表としてまだまだだ!と思います。また、様々な問題に正面から向き合う佃氏の姿は経営者としてのお手本であるであるとも思います。

その根底は誠実さで、どんな職業も誠実さという根底の元に成り立っているのだとつくづく感じました。再び熱い気持ちになりたい人にお薦めです。

パーソナルファイナンス




コーポレートファイナンスという言葉はよく聞くと思います。パーソナルファイナンスというのは、なじみは薄いですが、個人資産のファイナンスの事です。

世の中、法人の財務状況や資金繰りには関心があり、あれこれ議論をします。でも個人資産については、密閉されたものであり、シークレット性が高く、あまり公にしません。ですから、ふたを開けてみると、同じ所得で同じような家族構成なのに全然違うことが多々あります。

ファイナンスは得手不得手があり、資産を築く人はわずかな資金からでも少しずつ築きますが、所得に関係なく、無い人は全くないです。こんなに所得があってなんでこんなにもないのかという人も沢山います。浪費家であるということもありますが、なかには証券会社に預けていた金融資産がいつの間にか半分になっていたということもあります。そのような時、証券会社のせいにしても後の祭り。自己責任で片づけられてしまいます。自分の財産は自分で管理するしかないのです。

人は出生から生涯を終えるまで、さまざまな家族構成や環境の中で生きていきます。ライフスタイルによって何が必要で何がいらないのかも変わってきます。たまには自分のライフプランを設計してみませんか?そのような時、この本はきっと手助けしてくれます。

ラプラスの魔女




東野圭吾氏の本です。ネタバレしているのでご注意!

ある天才脳科学者の医者がいました。ある事故で奇跡的に命は助かりましたが自分で動くことも話すこともできなくなった少年に対し手術をします。成功する可能性は極めて低かったのですが、少年はみるみる回復し、それどころか超能力のような能力まで身に付けます。厳密には超能力ではなく、サイコロをふったとき何が出るかとか、雨がいつどこで降るとか。そういうことです。例えばサイコロにしても、手に持っている状態では何が出るか分かりません。手から離した瞬間落ちる回転や方向などを瞬時に計算して何が出るかが分かる能力です。天気についてもそうで、風の向きや湿度その他の自然現象から分かってしまいます。能力があがってくと数日前からも分かってきました。そう、コンピューター解析しないと分からないような能力を一個人が身に付けてしまったのです。これは、手術のせいなのか。それとも他の事象によるものなのか。手術のせいなら再現性があるかもしれない。それで実の娘が自ら希望して、同じ手術を受けます。再現性はありました。同じ能力を持つ人間が2人になったのです。

ある自然現象から災害が起こった事件が発生します。彼女はそれが自然現象ではなく、少年が仕掛けたものではないかと予測して少年を探します。ここから先は本を読んでください。毎度の事ですが、不思議が沢山詰まっていてどんどん引き込まれていく本でした。人間にはもともと、そうなるのではないか。という予測のような勘のようなものってありますよね?それは、「何となく」という曖昧な用語で片付けられがちですが、経験や分析によって分かるのであって、表現すると勘というものに置き換えられています。そして実現したとき、ほらね。だってあの時・・・とその根拠がスラスラと出てきたりします。でもこの本に出てくる能力はそれを遥かに超越しています。恐るべき能力。でも羨ましい能力でもあります。

著者の本は今までのパターンから必ず2つ以上のテーマが存在します。もう一つが親子愛というテーマです。人間はある可愛いものを見ると可愛いと思ったり愛しい気持ちが芽生えたりしますよね。でも、中にはそういう気持ちが芽生えない人もいるみたいですよ。どちらが正常なのか分かりませんが、私は芽生えるのが普通でそれは人間の持っている本能のようなものだと思うのです。こちらについては本をじっくり読んでみてください。

起業1年目の教科書





この本の著者の方に偶然新年会でお会いしていただきました。読んでみたらとても読みやすく、これから起業しようとしている人の精神的支えになるような本だったのでご紹介します。

“起業”というと世の中の人は大層な事と思う方もいると思います。身内が起業すると言ったら心配する人も実際のところ多いです。多くの人が「起業とはハードルの高い大きなチャレンジだ」と勘違いしていると著者は言っています。それは多くの起業した人の失敗を目にしているからというのもありますが、うまくいかない訳は2つあるといいます。1つは無謀なチャレンジをしてしまうこと。もう1つは、怖くて一歩も進めないというパターンだそうです。

成功する人は起業に大きなチャレンジは必要ないことを知っていて、大きな目標に達成するために細かな階段を作っているということらしいです。この文章を読んだ時、びっくりしました。私もそう思うからです。私の事務所のホームページのトップページには「確かな一歩の積み重ねを大切にします」とありますが、まさにそういうことなのです。

この本は上記の考え方を基礎にして具体的に起業1年目から成功するコツのようなものが書かれています。この本を読んだら”起業”に関して怖くて一歩も進めない人の背中を押すのではないかと感じました。しかも思い切り押すのではなく、優しく後押しする感じです。読み進めていくと、そうだ!そうだ!その通り!と思う事ばかり書いてあるのですが、1つ思い知らされたというか、はっとしたことが書いてありました。それは第9章に書いてあった「売れていないときから人に任せる」というものです。著者の知り合いの整体師の方は月20万円の売上の時に仕事の一部を人に任せたところ売上が5倍の月100万円になったのです。人に仕事をお願いしたい時、損した気分になるのは計算方法が間違っているらしいです。例えば人に1万円を支払って誰かに仕事を委託したとしてスピードやクオリティが自分より低いのでこの仕事なら3,000円でできると相手の仕事の価値を低く評価しがちです。この場合7,000円損した気分になるわけです。しかし実際は1万円支払うことで自分が別の仕事をする時間が増えます。その時間で10万円の仕事が取れたら、委託した仕事の価値は10万円とまではいかなくても軽く1万円は超えてくるといいます。委託費用を計算するときは、その仕事単体ではなくトータルでどれだけの売上が増えるのか。という考え方ができるようになると、お金を払った分を取り戻そう!と俄然やる気がでるそうです。自分と同じレベルの仕事ができる人を探していると一生見つからないまま終わってしまいます。経営者は任せる練習をすることも大切らしいです。経営者の仕事の7~8割は売ることです。売るという重要な仕事に専念するためにもその他の仕事は他人にお願いするということも大切な考え方だと知りました。

手が届きそうなアイディアや考え方が沢山詰まった本です。起業というハードルを低いものにしてくれます。起業をするかどうか迷っている方、一度目を通してみることをお勧めします。

月曜の朝、ぼくたちは




表紙の絵が可愛くて思わず買ってしまった本です。登場人物は29歳~31歳のアラサ―世代です。三流大学を卒業してそれぞれの人生を歩んでいる同級生です。小さな人材派遣会社で働いていて未だ独身の里中。銀行員になり周りの一流大学出身者に負けずと頑張っているがどこか同級生たちを見下している既婚者の北沢。肝臓がんになり余生間もない妻も子供もいるゼミ長だった来生。未だフリーターでバイトを転々としているがいつか起業したいと心で思っている独身の亀田。夢だった飲食店を開店した既婚者の八木。結婚して子供をもうけ地方のスーパーで働いている野原。そして紅一点の新名栞は出版社で結婚もしないでバリバリと働いている。そんな人々が周りにもまれながらも自分なりに精一杯(精一杯じゃない人もいますが)生きています。

本の中の言葉を借りるなら「みんな、”まだまだ”と”そこそこ”の間でもがいているやつらばかり」のお話しです。なんか懐かしくなりました。そういえば私も私の周りの同世代の人たちもアラサ―時代は、そんな感じでもがいていた気がします。”まだまだ”と”そこそこ”の間で・・・大学の時は横一列だったのがこの位の年齢から少しずつ差が出ています。アラサ―時代4年間位を描いていますが、4年後にはちょっと。人によってはだいぶ変わっています。4年前と全く変わっていない人もいます。

特に新名栞は唯一女性のせいかとても感情移入してしまいました。特に仕事の面で・・・なんだかとても懐かしい気持ちになれた本でした。


ご存じ直木賞を受賞した作品です。
私は年に何十冊か本を読んで、すぐにその本の中に入っていけるのですが、この本はなかなか入り込むことができませんでした。なんと言ったらいいのか分かりませんが、日常に溢れている暴力的な描写に目を背けたかったのかもしれません。何となく怖かったのかも・・・なかなか馴染めないまま読み進めた本です。

主人公の少年の祖父が何者かに殺されました。祖父は内紛や戦争で多くの人を殺した人物です。少年は祖父が大好きでした。少年は祖父が殺された事が心の片隅に残されたまま大人になります。少年は暴力的な少年期を経て、それなりに甘く切ない恋愛をして失恋もして、大人になり結婚をして子供ももうけます。それでも祖父は誰に殺されたのか?という疑問が常に付いて回ります。

ある写真をきっかけに犯人は分かるのですが、それは少年のよく知る人物でした。それには脈々と受け継がれる血というものを感じずにはいられませんでした。ネタバレするので言いませんが、台湾を舞台にしていますので、台湾から見た日本との関わり合いのような側面も垣間見れます。

全然関係ないですが先日テレビで、少年時代に両親を目の前で殺されその少年は捕虜として囚われて少年兵として地雷を敵地に埋め込む作業をさせられます。その少年が大人になり、自由の身になったとき、地雷除去の作業をボランティアでやっていました。自分が埋め込んだ地雷で何人もの命が失われた。 だから自分で地雷を除去しなければいけない。と言っていました。そして彼は言いました。「目の前で両親を殺されてその殺した犯人の顔を今でもはっきり覚えている。犯人を憎いと思う気持ちはある。でも、犯人を自分が殺したら、犯人の子供が僕を殺しにくるだろう。そして殺害は繰り返される。それなら、自分がそれを止めて地雷の除去をすることに決めた。」と言っていました。この言葉を聞いた時なぜか「流」を思い出しました。

ピンクとグレー


何気に本屋で手にした本です。私は昔からピンクとグレーの組み合わせが大好きです。ピンクだけだとやり過ぎ感がありますが、落ち着いたグレーを差すことことで何とも上品な組み合わせになります。中身も見ずにタイトルを見て購入しました。本の表紙のデザインも素敵です。

内容は子供のころからの友人であった仲の良い男の子2人が成長して高校生になった頃、2人が街で雑誌のモデルにスカウトされ、その後、雑誌のモデルや撮影のエキストラのアルバイトをします。ある日2人のうち1人がプロデューサーの目に留まり、あれよあれよという間に売れっ子になるというもの。主人公は売れない方の1人です。売れっ子になった”ごっち”は売れない親友”りばちゃん”にも有名になってもらおうと、できるだけ仕事を一緒にできるように手回ししたりします。でも、りばちゃんは実力で有名になりたいのでその手回しを全て断ります。2人の間に溝ができ離れていきます。同じ環境に生きていたのに1人は超有名人になり1人は無名のまま・・・本を読む限りごっちは誠実で友人の成長も手助けして応援しています。2人で大物になろう!と・・・でもりばちゃんは、そんな手助けいらないと拒否します。これって男の嫉妬でしょうか?

ごっちは名声を手に入れお金も手に入れ、欲しいものは全て手に入れます。でも、その作られた芸能人という仮面に心は病んでいくのです。ごっちは自殺します。死後どうするかをりばちゃんに託して・・・りばちゃんはどうしたか。。。そんな本です。

お金や名声を手にしても幸福感を得られるとは限らないのです。それが良く分かる本でした。お金持ちになりたい!と言う人が居るけど、身に余るお金は逆に人を不幸にするような気がします。人生を振り返った時、お金持ちになった時より若いとき苦労した頃の想い出の方が輝いて見えるのは、やはりお金より気持ちの方が重要だからじゃないでしょうか?

ブレイクスルー・トライアル



ある会社が技術の全てを駆使したセキュリティシステムを開発します。その会社が「第1回ブレイクスルー・トライアル」の参加者を募集します。これはある建物に新製品や未発表の最新鋭の情報セキュリティを施し、一般から公募したチームにそれぞれの方法で侵入を試みさせ、見事突破して建物内部にある所定のマーカーを入手し脱出に成功したチームには1億円の賞金が授与されるというもの。それぞれのチームが違うやり方で突破を試みます。正統派のやり方で(できるだけ物を壊さずに人や動物にも危害を与えずに)突破しようとするチーム、破壊的なやり方のチーム、マニア的なやり方のチーム、やり方はチームによって全然違います。
私は正統派のやり方が好きだしそれ以外の方法でのやり方を想像もしていなかったけれど、同じ事象でもこうもやり方が違うんだと妙に感心してしまいました。そして、それぞれのチームに賞金以外の思惑があります。それぞれのチームがそれぞれのやり方とチームワークで臨む姿に企業も色々あるしなぁと企業経営に投影して想像したりしました。また、守る側も色々な守り方があり参考になりました。