法人税の申告実績

平成26年3月までに終了した事業年度に係る法人税の申告について、国税庁より公表されています。平成27年7月末日までに申告した法人は277万件で黒字申告の割合は29.1%と3年連続の上昇となりました。税額の総額も10兆9,403億円となり、前年度比9.3%の増加となり、4年連続増加となりました。申告欠損金額の総額は12兆7,744億円となっており、前年度比24.1%減少しています。

源泉所得税額の総額も14兆8,243億円で前年度比11.0%の増加となり、これも4年連続の増加となりました。源泉所得税が増えたということは給与所得や配当所得が増えたということを意味しますが、給与所得の税額は4.6%の増加。配当所得の税額は22.6%増加しています。

日々生活していて、景気が良くなったと実感できる感じではないですが、数字では好景気となっているようです。

平成27年度 税制改正大綱 その1

https://www.jimin.jp/news/policy/126806.html
今年度は12月に選挙等があったことからいつもより遅く年末に発表されました。
詳しくは上記をご覧ください。

掻い摘んで言うと、数年前から行われている法人には甘く、個人には厳しい税制が継続されます。法人については、グローバルでも戦えるように、税率を低くし、各種促進税制は継続されます。

個人については、今年から所得税の最高税率を上げ、相続税の基礎控除を縮小したところですが、さらなる高齢者層から若年層への資産の早期移転を行うため、親族間贈与の贈与税率の縮小や、住宅を取得するための贈与などの優遇。そしてNISAの枠を広げ未成年者でも親や祖父母などの贈与によりジュニアNISAの制度を創設しました。これはお金を持っている高齢者が先行きが不安な事からお金を手放さない為、お金を必要としている若者世代に贈与の優遇を行うことによってお金の流れを作り出し、景気を循環させる狙いがあります。

また、現在人口は都市に集中し地方は閑散としています。地方の人口は年々減少し、労働人口も減ることから税収は減る一方でこのままでは地方のインフラの修繕もできなくなる位税収が減少していることから、ふるさと納税制度が創設されたのですが、それでも根本的な解決に至らないことから地方の起業において雇用の場を確保し人材を定着させることが必要であると考え、地方公共団体の企業誘致の取り組みに加え、企業が本社機能を東京圏以外に移転したりした時は、本社等の建物に係る投資減税を創設し、雇用の増加に対する税額控除制度の特例を設けます。

消費税の10%引き上げ時期も明確になりました。当初平成27年10月を予定していましたが、平成29年4月に決定しました。これは景気判断条項を付さずに実施するとのことです。

海外移転は要注意

日本の税金は来年1月から富裕層に対して相続税および所得税の両方の税率がアップします。そうしたことを踏まえてなのか年間100人程度の富裕層が海外移住をしています。

1億円を超える金融資産を持つ富裕層は日本国内で株式を売却すれば売却益に対して20%の税金がかかるのにシンガポールや香港やスイスに移住して株式を売却すれば税金はかからないのです。

来年1月から益々富裕層増税キャンペーンが実施されることから、海外移住する富裕層が今後も増えると考える政府は、出国時に含み益に対して(売ってもいないのに)課税する方針を固めました。ただし、一時的に海外に住み日本に戻る人には課税しないようです。戻る予定の人は出国時に納税猶予の申告をし、帰国の意思を明確に伝えた上で期間内に株式を売却せずに戻れば課税は免除されるとのこと。要注意ですね。

マイカー通勤手当の非課税枠拡大

マイカーおよび自転車通勤手当について所得税法上非課税となる限度額が平成26年10月20日に改正されました。



この改正はH26年4月1日に遡って改正されます。しかし、10月19日までに給与所得として源泉徴収されたものは、源泉徴収の計算のやり直しはしません。4月1日から10月19日まで旧制度により給与課税としてしまった分については、年末調整で非課税の再計算を行い精算することになります。退職者で年末調整できなかった場合は確定申告をすれば戻ってきますが、職場からの源泉徴収票交付の際の支払金額の欄は改正後になるように記載してもらい、源泉徴収税額は実際に徴収された金額にします。

中古物件の住宅ローン減税

中古住宅を購入し自分好みにリノベーションをするのが流行っていますね。新築物件で合計所得金額が3,000万円以下だと住宅ローン減税ができますが、中古だとどうなのでしょう?と質問を受けるようになりました。

中古物件ですと原則築20年(耐火建築物25年)までとなりますが、「耐震基準又は経過年数基準に適合するもの」又は「適合しないけれど耐震改修工事の申請等をして耐震改修工事を行い基準に適合すれば」住宅ローン減税の対象になります。この場合、耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明を受けることになるのですが、この一定の証明って具体的には何でしょう?

これを比較的簡単に取得する方法として「既存住宅売買瑕疵保険」に加入する方法があります。この保険は中古住宅の検査と保証がセットになった保険です。特徴としては中古物件の性能や状態を検査機関が調べてくれるのです。問題がなければ保険に入れます。問題があればその部分を修繕し、再検査を受けて合格し保険に入れば、築年数に関わらず住宅ローン減税の対象になります。

購入前に検査をするには売主の承諾が必要ですが、本気で購入したいのであればこの検査機関に調査してもらえば、住んでからも安心ですし、住宅ローン減税もできるので一石二鳥ですね。中古物件を購入する際は耐震基準がどうなっているのか確認する必要がありますね。

相続税法施行令33条3項 補填

相続税法施行令33条3項については、2010.4.12のカテゴリー税務で説明しましたが、その中の4要件の1番目に「その組織運営が適正であるとともに」というくだりがあります。これは具体的にはどういうことかというと詳しくは、下記ホームページを参照下さい。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sozoku/640609-2/03.htm
こんなに長い文章ですが、医療法人に関して言えば、一番下に書いてあります。
これを読み込んでいきますと、医療法人には規模要件があるということが分かります。医療法人の部分だけを抜き出しますと次の通りとなります。
(クリックすると拡大します)



(ハ)が何の事か分からないかもしれませんが(ハ)は特定医療法人の事です。つまり、社会医療法人や特定医療法人に準拠する法人でないと「その組織運営が適正である」と言えないのです。つまり、多くの診療所(クリニック)は規模要件を満たさないことから、他の形式基準、例えば理事等の1/3要件を満たしたとしても、規模要件を満たさないことから認定医療法人に移行しても個人に対するみなし贈与はかかりませんが、医療法人に対するみなし贈与(含み益がない場合を除く)は避けられないのです。

10月1日から認定医療法人制度が開始されますが、規模要件を満たさないと理事を同族1/3以下にしたとしても、医療法人へのみなし贈与は避けられませんので要注意です。

しかし、上記参照HPの(相続税等の負担の不当減少についての判定)にあるように、1/3以下どころか同族が全くいないような場合で従業員や実質支配者にもいないような場合には、規模要件が満たさなくても他の要件を満たせばみなし贈与は課税されません。

NISAと株主優待との関係

NISAは日本版ISAの事で随分浸透してきました。(参照:カテゴリーFP2013.1.19ブログ日本版ISA)ご存じのように年100万円までの金額でNISAの口座内で株式などを運用したり売却したりすると、配当金にかかる税金や売却益にかかる税金が非課税になる制度です。来年の税制改正で非課税枠が100万円から120万円になり、未成年者でも可能(親が子供のために非課税枠で作る)になりそうです。

最近、新聞や雑誌などでNISAの口座で自社の株を買ってもらおうと、株主優待制度を導入した企業が増えたという記事を目にしました。株主優待制度はある基準日に一定以上の株式を持っている株主に対し、割引券や優待券や自社商品などをプレゼントする制度です。お中元をただで貰うみたいで株主からするとちょっと嬉しい制度です。

でもちょっと待ってください。企業の中には株主優待は充実していても配当金を殆ど払わない企業もあります。配当金も多いし株主優待も充実している。という企業は滅多にありません。私が思うに配当金の多い企業は株主優待をしていない方が圧倒的に多いです。

そう考えると、株主優待が充実している企業の株をNISA口座で買うのは有用でしょうか?NISAはあくまで配当や譲渡益に対する税金が非課税になる制度なので配当が殆どないような株に対して(売却目的ならいいですが)購入するのは勿体ないと思います。まっ、これは個人的見解なのでご参考までに・・・

信託の税務

前回のカテゴリーFPでは信託の活用のお話をしました。信託の税務はちょっと変わっているので今日はそのお話をします。
信託には3人の登場人物がいる話は前回しました。委託者Aと受託者Bと受益者Cですね。信託をすると財産の所有権は委託者Aから受託者Bへ移転します。でも、利益は受益者Cが受けます。
通常の財産であれば所有者Bが利益を受けますが、信託は利益を受けるのは受益者Cなので、実質所得者課税により、受益者Cが税金を負担します。
所有者はBですのでCは財産を有するものとみなして財産から生じる収益や費用もCに所属するとみなすのです。ですから、委託者A=受益者Cの自益信託については課税関係が生じません。

注意しなければいけないのは、対価の支払いがなく信託が締結された場合、委託者Aから受託者Cへ贈与があったことになり贈与税が課税されます。また、対価の支払いがあったとしても著しく低い価格で譲渡した場合は低額譲渡となり時価課税されます。
大変便利な信託ですが、税金には気を付ける必要がありますね。




隅田川花火大会に行きました。過去何回か行きましたが、私が思うに最も込み合う花火会場です。くたくたになって帰ってくるイメージです。なのでお出かけの前に1枚撮りました。この浴衣は初めて着ました。花火会場に行って良く見る浴衣は黒地にピンクの花柄とか白地にピンクや薄紫の花柄などですが、私はこの浴衣のように個性の強いものが好きです。浴衣を着ると元気がもらえます。浴衣は私にパワーを与えてくれます。

税金の傾向

ここ2年の税制改正を見ていて感じることは、はっきりとした税金の傾向です。

それは法人優遇、個人劣遇という政策です。例えば、基礎控除額の縮小をした相続税。給与所得控除額の縮小をした所得税。そして税率を減らし続ける法人税などの税制改正で明らかになっています。

日本の税収は約90兆円、このうち個人に課税される所得税などは約30%、法人に課税される法人税などは約20%、消費税や酒税などの消費課税は約34%、相続税や固定資産税などの資産課税は約15%です。

法人の方が資力がありそうですが、今も昔も個人に課される税金の方が多いのです。それは何故でしょうか?法人のうち黒字申告は27.4%(平成24年度実績)で70%以上が赤字です。本当に事業が苦しい法人は存在します。しかし、税金払うくらいならと個人へ給与(役員報酬)として支払う企業も少なからずあります。

このような企業は大体1年後の利益を見積もり、利益が出るか出ないかのところで役員報酬を決める傾向にありますが、その方法を続けると、法人の税金と個人の税金をトータルで見た場合、ものすごい税金負担になる可能性があります。

今後は、個人の税金と法人の税金をトータルで考えちょうどいいキャッシュフローの妥協点を見つけ検討する必要があります。

印紙税の改正2

前回のカテゴリー税務では、領収書に係る印紙税のお話をしました。今回は不動産譲渡や工事請負に係る印紙税の改正をお話します。平成25年4月1日から平成30年3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」については、印紙税の軽減措置が適用されています。今回、平成26年4月1日以降に作成される契約書については、さらに印紙税の軽減措置が拡充されます。
詳しい内容は、こちらをご覧ください。

印紙税の改正2.pdf

平成25年4月1日から平成26年3月31日までは、契約書の金額が1000万円を超えていないと対象にならなかったのですが、平成26年4月1日以降は不動産譲渡については10万円超、建設工事については100万円超から軽減されます。

平成26年4月1日以降の軽減される金額は契約金額が高いものは20%程度ですが、契約金額が低いものは50%軽減になります。