少額減価償却資産の特例

中小企業等が、減価償却資産を購入して、その取得価額が30万円未満であるときは、それを累計して年間300万円までは、損金(会計上も税務上も経費として計上できる)とすることができます。平成28年度の税制改正で今までは資本金1億円以下の中小法人が対象でしたが、中小法人であっても従業員数が大規模法人並みの法人は適用対象外となります。基準となる従業員数は1,000人で、1,000人以下の場合にのみ引き続き適用となります。

元々10万円未満の減価償却資産は損金とすることができます。10万円以上20万円未満の減価償却資産は一括償却資産として1/3ずつ3年に渡って損金とすることができます。従って少額減価償却資産は10万円以上30万円未満の減価償却資産が対象となります。

この場合10万円以上20万円未満は少額減価償却資産と一括減価償却資産とでかぶります。利益が多く出ているときは少額資産、利益があまり出ていないときは一括償却資産を選択するのが通常です。ただ、少額資産は年間300万円までしか使えないので、まず、20万円から30万円未満のものを先に少額資産に充てて、残りの枠で10万円~20万円未満を充てるのが良いでしょう。その他を一括償却資産で処理します。

注意点としては、一括償却資産は固定資産税がかかりませんが、少額資産は固定資産税の対象になるので、利益があまりでないなら、一括償却資産として計上することも選択されるとよいと思います。

査察

税務調査というのは聞いたことありますよね?税務調査は原則として事前に委任状を出している税理士に税務署から電話があり、顧問先と日程調整のうえ行われます。それに比べ査察とは昔、マルサの女という映画がありましたが、悪質な脱税をしているおそれのある場合に予告もなしに強制的に調査するものです。ですから税務調査と査察はまるっきり違います。税務調査はちゃんとした経済行為をやっていてもくるものです。逆に査察は悪質な脱税者の疑いがある場合に行われます。

脱税手口としては、建設業や不動産業では架空経費を計上しているケース。またクラブ・バーではホステス報酬の源泉所得税をホステスからは徴収しているが納税していないケースが多いようです。その他にも脱税請負人に依頼して不正領収書を発行して脱税を行っていたケース。海外の会社に架空の経費を計上したケースなどあります。つわものは脱税だけでは飽き足らず、国をだまして消費税の輸出免税取引の還付請求までするというケースもありました。

もちろんこれらで得たお金は銀行に預けておけませんから、段ボール箱に入れてトランクルームに隠していたり、ボストンバックやキャリーバックの中に2億の現金を隠していた事例もあったようです。その他高級車や絵画の購入、ギャンブルや遊興費・特殊関係者への資金援助などもあったそうです。

いずれにせよ。大掛かりな脱税はほぼ見つかります。また、見つかったあとは本税の他、延滞税や重加算税などもかかってきて、脱税額が多い時は刑事罰にもなります。必ず後悔するので、節税は心がけても脱税に手を染めませんように・・・

スキャナ保存の改正

今年からスキャナ保存ができるようになりましたが、早速ですが改正になりました。スキャナ保存といっても要件が厳しくなかなかやりきれなかったのが現状だと思いますが、今回の改正はより実務を考慮しての改正ということになります。

まず、今までは読み取るスキャナは「原稿台と一体型」でないとダメでした。原稿台と一体型って分かりづらいですが、つまりコピー機のように原稿を読み取る台のようなものが付いているスキャナでなくては、ダメでした。ですからデジカメであったり、ハンディスキャナではダメだったのです。それが原稿台と一体型ではなくても良くなりました。これによりデジカメやハンディスキャナやスマホでも可能になりました。

ただ、電子化の際、署名が必要です。また、3日以内にタイムスタンプを付すことも要件になっております。ただし、この場合読み取る領収書等の大きさがA4以下であるときは、大きさに関する情報は保存しなくても良いことになりました。

電子保存する際は不正が行われないように、社内で2人以上の人が確認しあう相互牽制制度がありますが、小規模事業者はそれが難しいこともあるため、税理士等が定期的なチェックを行っているときは、相互牽制要件は不要になります。この改正は平成29年1月1日からとなりますので、適用を受けたい事業者は平成28年9月30日(適用を受けようとする3ケ月前の日)に申請書を提出する必要があります。
以下ご参考にして下さい。
スキャナ保存.pdf

相続手続き

相続税の改正があってから私にも周りの税理士にも相続税の申告が増えたような気がします。でも、いざとなったら何から始めていいのか分からないといった声が多いのも現実です。相続税には提出期限がありますので、1年も何もしないと大変なことになります。大まかな期限と何をすればよいか簡単に説明します。

相続発生したらまず始めにするのは相続人の確認です。通常は配偶者や子供ですが、予想外の子供もいることもありますので、被相続人(亡くなった方)の出生から現在までの登記簿謄本を取得することによって相続人を確定します。

次に遺言書はあるのか。遺産は何があるのか。などをしておおよその相続財産の総額を把握しましょう。もし財産評価が難しいようなら税理士などの専門家に相談しましょう。ここで相談するのは誰が良いかということですが、相続人同士に争いがないなら税理士にしましょう。税理士は財産評価をする専門家です。きっと相続人が有利なように考えてくれます。

そして、相続人は遺産を相続するか。放棄するか。限定承認(相続財産を限度として債務を引き継ぐこと)にするか。を決めます。放棄か限定承認を選択するには3ケ月以内に家庭裁判所で手続きしなければいけません。

それから被相続人の確定申告(準確定申告といいます)をします。通常は翌年3月15日までですが、亡くなった場合には、相続開始の日から4ケ月以内に行います。

ここまできて少し落ち着きます。それから相続人間で遺産分割についての話し合いが行われます(誰が何を相続するかの話し合い)そして遺産分割協議書を作成します。前回税理士に相談しているなら、税理士に聞いてみてください。税務の相談をせずにここまできたなら、行政書士に依頼すると弁護士より安く遺産分割協議書を作成してくれます。

保険金で受取人が決定しているものは、亡くなってすぐに手続きできます。必要書類は保険会社に確認します。その他の相続財産については、遺産分割協議書+α(何を相続するかによる)で名義変更できます。

遺産分割協議書ができれば相続財産を自分名義にすることができますが、相続税が発生するなら、遺産分割協議書通りに相続した相続税の申告書の提出が必要です。被相続人の住所地を所轄する税務署に提出します。提出期限は相続が発生してから10ケ月以内です。

相続税の納税が発生するのに期限後の提出になると加算税や延滞税等がかかってきますので、ご注意ください。

クレジットカード払いの注意点

都内に固定資産をお持ちの方は固定資産税の納税通知書が6月1日付で届いたと思います。そこに「クレジットカードでの納付方法について」というお知らせが入っています。ポイントを掻い摘んでいうと

①100万円未満の納付書でないとできない
②今年クレジットカードで手続きしても来年も自動継続にはならず、再手続きが必要
③決済手数料がかかる(いくらかかるかは下記添付をご覧ください)
④手続き完了後は取り消しができず、領収書も発行されない
⑤都税事務所が銀行の窓口ではクレジットカード納付できずインターネットでのサイトからに限られる(月曜日のAM1時~AM7時までは利用できない)
⑥納税証明書の発行に時間がかかる(約2週間)

税金がクレジットカード払いになればカードポイントも付くからラッキーと思われている方要注意です。特に③の決済手数料がかかるのでせっかくポイントついてもカードによっては手数料負けする可能性もありますね。よく試算して決断しましょう。
クレジットカード払い税金.pdf

空家に係る譲渡所得の特別控除の創設

居住用財産を譲渡した場合、たとえ譲渡益が出たとしても3,000万円の特別控除ができるので、大抵の場合、住宅を譲渡した場合は譲渡益に係る税金がかかりません。ところが空家や貸家にしてしまうと自己の住宅ではなくなるので、特別控除が使えなくなります。

ところが今回この点について税制改正がありました。まずは下記要件に該当する居住用財産を譲渡した場合になりますが、空家になってから耐震リフォームをしてから譲渡した場合(耐震性がある場合はリフォームしなくても大丈夫です)または空家を壊して更地(土地だけ)にして譲渡した場合でも3,000万円の特別控除が使えることになりました。

平成28年4月1日の譲渡から適用になります。(平成31年12月31日まで)例えば先祖代々の住宅で取得費が不明の場合は、5%みなし取得費が適用され、譲渡価格の95%に税金が課されます。しかし、この適用を受ければ税金がかからないという人も多いのではないでしょうか。ぜひ、ご活用下さい。

-要件-
①被相続人の居住用家屋については、昭和56年5月31日以前に建築された家屋で相続発生時に被相続人以外に居住者がいなかったこと。
②その財産について相続時から譲渡時まで、居住・貸付・事業の用に供されていたことがないこと。
③譲渡家屋は、譲渡時に地震に対する安全性に係る規定又は、これに準ずる基準に適合するものであること。
④譲渡価格が1億円を超えないこと。

クレジットカードによる税金納付

時代ですね。クレジットカードで国税が納付できるようになります。いつからかと言うと平成29年1月4日以後に納付する国税からできるようになります。つまり、個人なら来年の確定申告書の納税から可能になります。

コンビニなどで納付する場合、納付した日はいつになるのでしょうか?それはコンビニで支払った日です。クレジットカード払いの手続きはWEB上で納付情報を入力することにより完了します。納付日は納税者から委託を受けた日(つまりWEB上で入力して送信した日)ということになります。コンビニ納付の場合上限額は30万円ですが、クレジットカードの場合、上限なしで税金(国税)全額について納付する事ができます。

ただ、WEBを使うことになるので、パソコンのセキュリティ管理は今まで以上のやる必要があるますね。おそらく地方税もこれにつられて数年後にはできることになるのではないでしょうか?

法人が受け取る利子の源泉利子割の廃止(H28.1.1~)

普通預金に2月と8月の年2回利息がいつの間にか入っていると思います。あれって本来の受取利息から15.315%(所得税と復興所得税)と5%(利子割)が勝手に引かれて入ってくるのです。ですから、税務申告や会社の会計などでは、手取りを総額に計算しなおして仕訳をしています。

手取り額の計算は、手取額(通帳記載額)÷{1-(15.315%+5%)}です。カッコ書きの部分だけ計算すると、0.79685なので手取り額を0.79685で割り戻せば、税引前の利息が出ます。ところが、平成28年1月1日以後受取の利息は、受取人が株式会社などの法人格を有する場合には、利子割5%部分が廃止されました。

ですから、1月以降の利子については、総額を計算するときは、手取額(通帳記載額)÷(1-15.315%)となりますので、手取り額を0.84685で割り戻すことになります。さっそく、2月に預金利息の入金があると思いますのでご注意下さい。また、これは普通預金だけではなく定期預金やその他の預金で利息が付くものについては適用になります。ポイントは受取人です。受取人が個人の場合だったら今まで通り。法人だけ利子割が廃止になりますので要注意です。

建物付属設備・構築物の減価償却改正

建物の減価償却方法は定額法です。しかし、建物付属設備は定率法で償却することも可能だったので、多くの法人は建物は(しかたなく)定額法。建物付属設備は積極的に定率法で償却しています。定額法の方が償却が遅く、定率法の方が償却が早いので耐用年数総額では償却費の合計額は一緒ですが、期間の利益を考えると早く償却できる定率法は有利です。

だから、建物などを建てた時は、見積書から電気設備や空調設備などの建物付属設備を除いたところで建物として減価償却を行い、電気設備や空調設備などの建物付属設備は耐用年数も建物より短く償却も早い定率法で償却するというのが実務です。

しかも建物は耐用年数が仕様や用途によって違いますが、長いものですと、事務所用鉄筋コンクリートで50年ですが、建物付属設備は電気設備、給排水設備、空調設備(22kW超)15年と建物に比べ大分短い期間で減価償却が終わります。

耐用年数も短いし償却も早いので定率法で償却してきた建物付属設備ですが、平成28年4月1日以後取得分から定額法でしか償却できなくなります。また、構築物(アスファルトなど)も定率法は使用できなくなり同28年4月1日以後取得分から定額法でしか償却できなくなります。ご注意下さい!!

平成28年1月から源泉徴収税額が変更されます。

給与所得控除額(給与収入から自動的に控除される給与の必要経費のようなもの)が平成27年から3年連続で改正されます。

平成27年は給与収入年間合算1,500万円以上の場合には給与所得控除額は245万円がMAX(上限)です。
平成28年は給与収入年間合算1,200万円以上の場合には給与所得控除額は230万円がMAX(上限)です。
平成29年は給与収入年間合算1,000万円以上の場合には給与所得控除額は220万円がMAX(上限)です。

給与収入が多い人は増々多くの税金が取られるようになります。この改正に伴い、平成28年1月から給与から差し引かれる源泉徴収税額の改正がありますのでご注意下さい。



先週末の賀詞交歓会でMrマリックさんにハンドパワーいただきました。今年も頑張ります\(^o^)/。何だか年末から着物を着る機会が多く、年末年始で5回も着物を着ました。浴衣はありますが、着物でこんなに着たのは初めてです。しばらく着る機会もありませんが楽しめました。さぁ、そろそろお正月気分もおしまいにして確定申告に向けて仕事頑張ります。