管理者の理事就任

医療法人の管理者(院長)は理事に就任しなければなりません(医療法で決まっています)。ですから、分院が3つあればそれぞれの管理者が理事にならないといけないのです。

ところがそれでは不都合が生じる場合があります。例えば分院がへき地に診療所を持っていてそこの管理者が頻繁に変わる場合でも理事の就任退任および新しい理事の就任などをしなければならず、実務的に煩雑でした。また、病院のとなりに介護施設を持つなど隣接した土地にあるにも関わらず理事就任は複数就任させる必要があることなど・・・

その点は以前から都道府県知事の認可を取れば加えなくても良いとされていましたが、今回はさらにその他の事情があった場合には別に審議して認めますよというものです。

今までは限定列挙的な例外規定だったのが、個別案件として審議しますよという形になったのです。詳しくは下記をご覧ください。

○「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」.pdf

キャリア形成促進助成金(中長期的キャリア形成コース)

どこの医療法人でも特に病院では常に人材が不足しているが人件費率が高く経営を圧迫していることと思います。厚生労働省系の助成金にキャリア形成促進助成金というものがありまして、そのうちの中長期キャリア形成コースというのは、看護師・准看護士・助産師・放射線技師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・言語聴覚士・臨床工学技士・義肢装具士・救急救命士・歯科衛生士・歯科技工士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・保健師・調理師・栄養士・介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・保育士や専門職大学院(MBA)などの教育訓練を事業主が従業員に受講させた場合、賃金助成と経費助成がされるものです。

中小企業で賃金助成が一人当たり1時間800円、経費助成は1/2となります。大企業では賃金助成が一人当たり1時間400円、経費助成は1/3になります。1事業主の年間の助成金支給限度額は500万円となっております。
具体的には下記を参照下さい。
キャリア形成助成金(中長期キャリア).pdf
キャリア形成助成金Q&A.pdf

最低賃金の引上げ

労働基準法上の最低賃金は都道府県ごとに定まっていてこの度早い都道府県で10月1日から、遅い都道府県でも10月18日から改正になります。全国16円~20円の大幅な引き上げとなっており、昨年の改正も含めると2年通すと最低でも29円の引き上げになります。
下記参照↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
大幅な引き上げになりますので、違反していないか再度確認する必要があります。

また、800円未満の労働者の賃金を引き上げた中小企業・小規模事業者が労働能率の増進に係る設備等を購入した場合には、導入コストの一部を助成する制度があります。(上限150万円)
該当する事業者は是非助成金の申請を行って下さいませ。
下記参照↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

医療関係税制動向

各省庁から来年度に向けての税制改正要望が出そろいました。その中で医療に関する要望で気になったものをお伝えいたします。

所得税(所得控除関係)
医薬品(要指導医薬品)を年間1万円以上購入した世帯は1年間の購入金額の総額から1万円を控除した金額を医療費控除(最大10万円)とすることができる。ただし、現行の医療費控除と選択適用になります。医療費控除は実際に医療にかかった人が年間に支払った医療費の金額に応じ医療費控除として所得控除できるのですが、病気にならないように自費で予防していた人には何のメリットもなかったのでその不平等さに対応するものと思われます。

所得税(所得控除関係)
人間ドッグやがん検診、予防接種や特定健診に係る費用の自己負担額が年間1万円以上かかった世帯に対して、最大10万円まで所得控除の対象とする。現行では検診で病気が発見され引き続き治療を受けた人には検診費も含めたところで医療費控除が使えましたが。何も見つからなかった人は、検診費を医療費控除することができませんでした。しかし、今回は病気が見つからなくても、常日頃から病気を意識し悪化する前に検診等を受けていた人に対するインセンティブであると思われます。

消費税ですが、医療費に係る消費税の課税のあり方の検討として「消費税率10%引上げに向けた適切な措置を講ずべく、個々の診療報酬項目に含まれる仕入れ税額相当分を見える化することなどにより実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。」とあります。この文章を見る限り、消費税の損税問題はまだまだ解決しそうにありませんね。消費税10%増税時までに間に合うのでしょうか・・・

2025年病床計画

首相官邸のホームページに「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の第一次報告がUPされています。下記、参照して下さい。

医療介護情報専門調査会.pdf

それによりますと、2013年の病床数は約135万床(一般病床101万床、療養病床34万床)ですが、2025年にはこのままいけば高齢化の影響により152万床必要になるらしいです。そこで在宅で対処する人数を増やし、病床数そのものは、機能分化・連携を取り入れ115~119万床程度(高度急性期13万床、急性期40万床、回復期38万床、慢性期24万床~29万床程度)に削減する予定です。
都道府県ごとの2013年2025年2040年の総数・65歳以上・75歳以上の人口の推移も推計し地域ごとに必要な病床数を見積もっています。何パターンか見積もっていますが、どのパターンでも2025年に向けて増床するのは、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・沖縄県のみでその他の都道府県では減少となります。
今お話しした内容は参考添付書類の21ページ~33ページくらいに載っていますので今後10年の事業展開の参考までに是非一読下さいませ。



先週の日曜日に長岡花火に行きました。昨年に引き続き2度目ですが、何度見ても凄かったです。私が知っている限りでは一番スケールが大きい花火大会です。

地域医療連携推進法人制度

平成27年4月3日に医療法改正の法律案が国会に提出されました。その中で地域医療連携推進法人制度の創設が謳われています。地域医療連携推進法人とは、以前新聞などを賑わせていた非営利ホールディングカンパニー制度のことで、厚生労働省で検討した結果正式名称として地域医療連携推進法人制度という名称になりました。

詳しい内容は、厚生労働省のホームページをご覧ください。http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000073695.html

制度のポイントとしては、
☆トップに立つ医療連携推進法人の法人格は一般社団法人となります。
☆都道府県知事の認定が必要です。
☆グループに参加する法人は医療法人か非営利法人です。(株式会社は参加できません)
☆参加法人は社員になり1個の議決権を要します。(ただし、定款に決めれば1個でなく参加法人毎に違っても良いことになっています)
☆グループ間の資金貸付ができるようになります。
☆地域医療構想の推進に必要である病院間の病床の融通をすることが可能となります。

当初構想されていた制度より厳しくなった感もありますが、それでも今まで認められていなかった医療法人の貸付金制度や定款によって議決権割合を決めれたり、病院間の病床の融通が可能になったり、少しずつですが、医療法人制度が緩和してきています。

遊休資産の貸付

社会医療法人以外の医療法人は本来業務と付帯業務以外の業務を行うことはできません。遊休資産(今のところ使用されていない資産)があっても、それを他に貸し付けることは禁止されていました。ところがこの度、遊休資産の貸付が認められることになりました。詳しくは下記をご覧ください。

遊休資産の活用.pdf

例えば、将来的に分院を建てることを予定しているが今のところ空地となっている土地があったとします。比較的駅に近く駐車場として貸せば病院経営も助かりますが、医療法ではこれを禁止していました。これが解禁になりました。事業収入ではなく、事業外収入に計上することになりますが、医療法人のキャッシュフローを改善する改正となります。

厚生労働大臣から都道府県知事への権限移譲

1つの都道府県で医療法人を営む場合、その医療法人の監督等に係る事務・権限はその医療法人の所属する都道府県知事が行うことになります。また、2つの都道府県にまたがる医療法人(例えば、本店は東京都にあり、支店が千葉県にある場合など)は、都道府県知事ではなく、厚生労働大臣が監督等の事務・権限を行っていました。

それが、平成27年4月1日より2つ以上の都道府県にまたがっていても厚生労働大臣ではなく、都道府県知事へ権限移譲されています。私も3月の下旬から4月上旬に渡って医療法人の定款変更をしていたのですが、広域医療法人(2つの都道府県にまたがった医療法人)だったので仮申請では、○○厚生労働大臣宛てにしていましたが、4月1日になった瞬間、都道府県知事宛てに訂正されました。ご注意下さい。

医療法人が中小企業再生支援の対象になります

中小企業には様々な支援がされています。今まで医療法人は小規模であっても商法上の法人でないため、中小企業という概念の中に入らず、様々な不遇を受けていました。この度、中小企業再生支援協議会事業が対象とする中小企業者に「従業員数300人以下の医療法人」も含まれることになりました。

中小企業再生支援協議会は主に財務上の問題を抱えている中小企業の医業再生を支援しています。再生手法としては、相談対応であったり、借入金の返済期間を猶予するリスケジュールであったり、債権放棄であったり、債務の借換であったりします。資金繰りに困っている医療法人は一度相談してみるのもいいと思います。

詳しくは中小企業庁のホームページをご覧下さい。
http://www.chusho.meti.go.jp/

医療法人移行手続

私としたことが12日もブログを更新できませんでした。これはこのブログを始めて以来のことで読者の皆様にはご心配おかけした事お詫びいたします。久々に確定申告で夜遅くまで仕事をし、朝も早く起きて仕事していました。でも、毎月7カテゴリーに1つずつブログにするというのは、守りますので何とぞ見捨てないで下さい(笑)

さて、医療法改正の動きがあることはご承知のことと思いますが、持分ありから持分なしへの移行は、厚生労働省が認定して移行を行う(認定医療法人制度)が昨年の10月より始まったところですが、その認定を都道府県知事が認定する仕組みを導入しそうです。

持分なし医療法人は相続税の心配がなくなりますが、移行時には場合によってはみなし贈与という税金がかかります。その事をあまり知らない医療法人や都道府県が何も分からないまま移行してしまったらと思うとちょっと怖いですね。この移行に関する支援策として、移行を支援するコンサルタントに係る経費の補助も検討されています。これはチャンスなのか?いずれにしても、この件に関しては今後何かしらのトラブルが起こりそうです。

移行を考えている医療法人は移行する前に必ず顧問税理士などに移行時課税がおきないか確認する必要があります。